
大学生の保険室 運用担当の田代です。
皆さんの中で、奨学金を利用している方はいますか?
利用している方は、漠然と奨学金についての不安はありますよね。
「将来、月にいくらずつ払う必要があるのかな」
「無事に返済できるのかな」
「借金だと思われて、結婚に影響とかあるのかな」
月に少しずつ利用していても、卒業時には大きな負担になることも少なくありません。
そこで今回は、皆さんが抱えている漠然とした不安を払拭するために、奨学金の返済方法や少しでも負担を減らす方法、延滞した場合の将来への影響について紹介していこうと思います。
他の人はどれくらい借りているのか、ひょっとしたら個人で抱えている悩みは皆さん共通だったりするかもしれません。
それでは、見ていきましょう!
奨学金についてどれくらい知っている?

まずは簡単なクイズを行いたいと思います。
自分が借りている奨学金の“種類”を知っている方は多いと思いますが、自分の奨学金に関係する“情報”はどれくらい知っていますか?
これを知っているだけで、将来の返済に影響するかもしれません。
ぜひこの機会に、認知していただければと思います!
(〇か×で答えください)
Q 奨学金が返済できない場合は、親や親類に返済義務が及ぶことがある
Q 奨学金の返済を理由に、結婚や出産をためらう人も少なくない
Q 先進諸国の中で、大学の学費が高く、公的に返済する必要がない奨学金制度がないのは
日本だけである
Q2031年には、国立大学の授業料は今より約40万円近く値上げされ、年間約93万円
になると言われている
どうでしょうか。それでは答えを発表しますね。
正解は、すべて〇 です。いじわる問題でごめんなさい笑
実はこの問題、2016年に大学生協が行ったアンケートになります。
( 組 合 員 対 象 「 奨 学 金 制 度 に 関 す る ア ン ケ ー ト 」 結 果 報 告
4 問目まではほとんどの方が「知っている」と答えていますが
最後の問題を「知っている」と答えた割合は奨学金受給者 23.9%、無受給者 19.3% という結果が発表されています。
皆さんはどれくらい知っていましたか?
次に、奨学金の種類の詳細ついて紹介していきます!
奨学金の種類は無利子か有利子か
奨学金には主に利子のつかない第一種奨学金と利子のつく第二種奨学金のほかにどちらかの奨学金とあわせて入学の一時金として貸与する入学時特別増額貸与奨学金(利子つき)があります。
利用できる対象者は国内の大学院・大学・短期大学・高等専門学校・専修学校に在学する学生となりますが、所得や成績に応じての選考があります。
奨学金を借りている大学生の割合・平均貸与額
2016年、大学生協が大学生・大学院生1,727人を対象に行った
(組合員対象「奨学金制度に関するアンケート」結果報告:
では
有利子 約40.0%.0% 無利子 約42.0%
半数以上の学生が奨学金を借りている結果となりました。
次に、奨学金の月の貸与額は

月の貸与額は3万円~8万円の割合が多くなっています。
また、3万円~8万円の貸与を受けている学生の70%以上が「返済できるか不安」と答えています。
また、奨学金を利用する目的は
・授業料を賄うため 約64.0%
・親が勧めたから 約41.0%
僅差ですが、多くの方は生活費を賄うために利用しています。
実際、住まい形態別の利用者の比率は寮生が一番多く、次に下宿(アパート)、自宅通学と続いています。
結果から見ても、奨学金は大学生活を維持するために必要不可欠な制度です。
奨学金に対する大学生の悩み
大学生協は、「奨学金制度を利用していての不安」についてもアンケートを行いました。

出典:組合員対象「奨学金制度に関するアンケート」結果報告
全体の半数が返済の見通しが「立っていない」と答え
制度を利用していての不安は
・漠然とした不安がある 47.3%
・結婚への影響 22.2%
やはり、皆さん「返済できるか不安」という声が多く上がりました。
漠然とした不安というのは「返済できるか不安」にも関係し、具体的に返済するイメージができないため、不安に感じる方がいると考えられます。
次に、具体的な返済方法を中心に紹介したいと思います!
返済日はいつから開始?
原則、返済は貸与が終了した月から 7 か月後となります。
例えば、2020年3月に貸与が終了すれば2020年10月~返済がスタートします。
返済額の求め方
返済額の求め方は、奨学金が有利子か無利子かで異なります。
無利子の場合
無利子の奨学金の場合は、月に貸与された額の総額が返済額となります。
大学生の貸与額は3万円~8万円の層が多いので、入学時の4月から卒業までの4年間、月5万円をを利用し続けたとすると返済総額は48カ月×5万円=240万円となります。
有利子の場合
有利子の場合は利率を含めた計算になりますので、無利子よりも複雑です。
求め方は利率固定方式と利率見直し方式の2つに分かれますが、どちらもかかる利率は上限が3%までと定められています。
・利率見直し方式 約 5 年ごとに、市場動向に合わせて利率が変動
2 つの方式の違いは、文字通り利率が固定か変動かでわかれます。
現在では約 8 割の方が固定方式、2 割の方が見直し方式を選択しています。
見直し方式の場合、利率が変動するため正確な返済額を把握できない、5 年ごとに返済額を見直す手間があるため、あまり利用されないと考えられます。
また、返済総額や返済残額、残りの返済回数などを確認したい方は日 本 学 生 支 援 機 構 が 提 供 す る 「 ス カ ラ ネ ッ ト ・ パ ー ソ ナ ル 」の利用をお勧めします。
こちらは日本学生支援機構の奨学金を利用している方のみ使用できます。
返済できないとどうなるの?
万が一、なにも手続きせずに奨学金を返済しなかった場合、将来にどう影響するか紹介します。
本人・連帯保証人に請求がいく
連帯保証人はたいてい、親か親戚に登録してもらいますよね。
奨学金に関するクイズにもでたように、本人が奨学金を払わない場合は親や親戚に返済義務が及ぶことがあります。
延滞金が課される
延滞金とは、支払いが遅れたときに遅れた期間に応じて追加で請求されるお金です。
延滞した場合年 2.5%~10%ほど課されるため、延滞が長引けば長引くほど延滞金が増えていきます。
ブラックリストに登録される
3 カ月以上延滞すると、個人信用情報機関に登録されてしまいます。
もし登録されてしまうと、車のローンが組めない、住宅ローンが組めない、クレジットカードが作れない可能性があります。
ローンが組めないことで、将来のライフプランが組みづらくなるデメリットもあげられます。
強制執行・差し押さえされる
長期間延滞が続くと、法的措置をとられ、給料や財産を強制的に差し押さえられたりします。
最終手段とも言えそうですが、こうならないために返済がきつい場合は早めの対処が必要です。
早めの対処を行うためにも、次に返済額を減らす方法を紹介します。
利息を減らすには
利用した奨学金の元本は減額できませんが、返済方法によっては利息分を減額できます。
ここでは2つの方法を紹介したいと思います!
一括返済
一括返済は言葉の通り、返済額を一気に返済する方法です。
一括で返済することで、利息分を払わずに済むという効果が得られるため、主に第 2 種奨学金(有利子)を利用している方にお勧めです。
利率は低いとはいえ、“塵も積もれば山となる“
早めに奨学金を返済するためにも、返済額総額を払える資金があるのであれば検討したい1つの手段とも言えます。
しかし、手元資金が一気になくなってしまうというデメリットもあげられます。
万が一何かあった場合に備えて、一定の手元資金を確保しておく必要はあります。
繰り上げ返済
一括返済できる資金がないとしても、ある程度の資金がある場合は繰り上げ返済をお勧めします。
繰り上げ返済とは、毎月の返済額を増額することで返済期間を短縮する方法です。
注意してもらいたいことは、月の返済額が少なくなるのではなく、返済期間が短くなるという事です。
こちらも、一括返済同様に短縮された期間分の利息を払わずにすみます。
手数料も無料のため、卒業後に余裕がでたときに繰り上げ返済することをお勧めします。
負担の少ない返済方法
次に、月の負担額を少しでも減らすことができる方法を紹介します。
もしも何かあった場合に今まで通りに返済ができない場合には、今回紹介する制度がお勧めです。
減額返還制度
約束通りの返還は難しいが、減額した金額なら返還できる場合に有効な制度です。
減額返還制度とは、毎月の返還額を減額し、返還期間を延長する制度です。
※元本や利息が減るわけではありません。
対象者
災害、傷病、経済的理由により奨学金の返還が困難であるが、減額した金額なら返還可能な方
適用期間
1 回につき 12 カ月単位で、最長 15 年まで延長できます。
適用期間が 120 カ月から 180 カ月(15 年)に延長したことで
当初約束した返還金額を 3 分の1に減額できるようになりました!
毎月の負担額が減り、気持ちにもゆとりがうまれる制度ですが、返済期間が長くなることで他のローンと重なり、後に生活が苦しくなる可能性はあります。
返還期限猶予
現在返還が不可能なため、一定期間返還を待ってほしい場合に有効な制度です。
先ほど紹介した減額返還制度では、毎月約束した金額を減額すれば返還可能な方向けでした。
しかし、今の状況では本当に減額しても払えない。そんな方に知ってもらいたい制度です。
※元本や利息が減るわけではありません。
適用期間
最大 10 年まで利用できます。
払えないからといって、滞納することだけは避けましょう。
滞納すれば、延滞金が発生したりブラックリストに登録される可能性があります。
払えないと感じたら、すぐに減額返還制度か返還期限猶予の申請をしましょう。
実はこの返還猶予制度、2 種類に分かれていて、一般猶予と猶予年限特例又は所得連動返還型無利子奨学金の返還猶予があります。
一般猶予
返済困難な事情があるときに、願い出によって一定期間返還期限を先延ばしする制度です。
※届け出は 1 年ごとに提出猶予期間中は、第 2 種奨学金であっても利子が増えることはありません。
ここでいう返済困難な事情とは、災害を受けた方、傷病により就労が困難な方、新卒など(卒業後 1 年以内で無職・未就職・低収入により返済が困難な方)、産前産後休業・育児休業により無収入の方などをあげます。
猶予年限特例又は所得連動返還型無利子奨学金の返還猶予
2012 年以降の第一種奨学金を利用していた人に認められた猶予制度です。
通常は猶予期間が決められていますが、この制度には猶予期間がありません。
というのも、所得が一定額に達するまでは返還を待っていてあげるというニュアンスになるからです。
具体的に、サラリーマンの場合は所得が 300 万円、自営業の場合は 200 万円に達するまでは返済開始しなくても大丈夫です。
減額返済制度と返還期限猶予の違いは把握できたでしょうか?
減額返還制度を利用した場合、毎月の返還額は最大返済額の 3 分の 1 まで減額できますが、適用期間の半分の期間が延びます。
返還期限猶予は、猶予期間をまるまる先送りして後にその分を払うことになります。
出 典 : 千 葉 商 科 大 学 「 奨 学 金 の 上 手 な 返 し 方 と は ? 」
まとめ
今回は、奨学金を利用している皆さんが一番不安を抱えている「返済できるか」「漠然とした不安」について、返済シミュレーションや少しでも返済額を減らす方法、毎月の負担を軽くする方法などを紹介していきました!
もし返済できなかった時、そのまま放棄していたらどうなるか。
そうならないためにも、必ず延滞ではなく今回紹介した方法での返済を検討してください。
今回の記事で、学生のうちになんとなくでも奨学金を返済する自分をイメージし、少しでも皆さんの不安が解消できれば幸いです。